マレーシアのメディア、The Star誌に、私の友人であり、マラッカの歴史研究および保存運動に携わるジョセフィーヌ・チュアさんをインタビューした記事が掲載されました。
大体の内容を抜粋したいと思います。
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/7/13/focus/21814774&sec=focus
Living heritage too must be preserved
ユネスコ世界遺産都市の認定も我々の対応が間違えば取り消されるだろう、とジョセフィーヌ・チュアさんは語る。
世界遺産たるためには我々の実行力が必要であり、ユネスコが決める規則を遵守できるか否か、にかかっている。
この街の文化遺産を守るためには、より多くの人々の理解を広めるよう国が指導する必要がある。そして、この街の正しい歴史を地元民と旅行者の両方に伝える必要がある。
まずは、マラッカの文化遺産とは何かを知ってもらうことが必要。歴史遺産は建物だけではなく、この街に根付いてきた「生きた」遺産でもあり、それはマラッカの文化、そして人々である。
今は観光客で溢れかえるマラッカの街にもかつては大勢の職人が住んでいた。ところがこれらの職業は現代においては良い金儲けにならないため後継者もなく、この街からどんどん消えている。これに代わって今はみやげ物屋がひしめき、どこもかしこも似たような商品をおき、しかもその大半はマラッカやマレーシア産ではなく外国産のものばかりだ。
観光客が求めるのはこんな街ではない。観光客はこの街の本当の姿を見たがっている。
国にはこれらの伝統的な職業を保護し、次世代につなげてほしい。特別なライセンスを与えるようにするとか、賃貸や課税などの負担を軽減するといった方策をとるべきだ。国や大手企業にはこれらの伝統的職業を守るために財政的な協力を求めたい。
・・・という以上の内容です。
ジョセフィーヌさんは私だけではなく世界各地からやってくる研究者たちにマラッカを案内してきました。私がいつもマラッカに感じることは、マラッカ側がよかろうと思って提供するものと、我々外国人が見たいと思うものにあまりにも隔たりが大きいということです。「バリやタイ、中国産のみやげものが並ぶマラッカなんて見たくない。この街の本来の姿、人々の生活が見たいのだ」という私たちの要求を彼女はよくわかっています。
またババ博物館の館長さんもよく言っていますが、「マラッカやプラナカンの文化に興味を持ってくれるのは、外国人旅行者だけ。アジア人では日本人くらい。ローカルが興味を示さないのが残念でならない。ローカルはジョンカーウォークのみやげもの屋で満足して帰ってしまう」と。
私の本でも「マラッカ裏道散歩」というページで紹介しましたが、土産物屋がひしめくジョンカーから一歩裏に入れば、今でも職人さんたちの姿を目にすることが出来ます。しかし、その大半は高齢者で、この人たちが亡くなれば、もう跡継ぎがいないというのが現実なのです。
そして正しい歴史認識。マラッカには「伝説」が多すぎるのです。たとえば、プラナカンのルーツに利用される「ハンリーポー伝説」もその一つ。マラッカの王国に明国の姫ハンリーポーが数百人の家来を従えて嫁いできたという伝説です。これは『マレー年代記』には記述されていますが、肝心の中国側の歴史書や『明史』にもこんな話はまったく記載されていません。そもそも、世界の超大国であった明が、こんな小さな国に姫を嫁に出すでしょうか?それが本当なら日本にも姫を送っているでしょう。中国の書物には、マラッカ王国の王がやってきたときに、マラッカ王の帰国の際に女を付き添わせたという記録があるのみです。そしてその女は特別な地位を持つ人物ではない、と記されています。
ところがマラッカでは今でもハンリーポー伝説がまことしやかに語られているのです。ちなみに、ハンリーポーではなく、ハンリウというのが実際にマラッカ王の妻になった中国女性の名前だそうです。
また、明からは鄭和が船団を率いて数回マラッカを訪れています。鄭和は明の宦官でしたが、イスラム教徒でした。チェンフンテン寺の建設に鄭和が関わったとか、とんでもない話をする人もいます。常識的に考えてください。イスラム教徒が仏教寺院を建てるでしょうか?
ジャラン・カンポン・クリには、マレーの勇士ハン・ジェバットの墓があります。しかし、この墓は本当に彼のものなのか?そのお墓のつくりは、王族用のつくりになっています。ハン・ジェバットは王族どころか、王に反逆した荒くれ者ですらあり、彼の死体は海に捨てられたと書かれていたと思います。なのに、なぜここに立派な彼のお墓が?
きちんとした検証もせず、いい加減な観光名所を作る、そんなことがユネスコ世界遺産都市にあってはなりません。
大体の内容を抜粋したいと思います。
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/7/13/focus/21814774&sec=focus
Living heritage too must be preserved
ユネスコ世界遺産都市の認定も我々の対応が間違えば取り消されるだろう、とジョセフィーヌ・チュアさんは語る。
世界遺産たるためには我々の実行力が必要であり、ユネスコが決める規則を遵守できるか否か、にかかっている。
この街の文化遺産を守るためには、より多くの人々の理解を広めるよう国が指導する必要がある。そして、この街の正しい歴史を地元民と旅行者の両方に伝える必要がある。
まずは、マラッカの文化遺産とは何かを知ってもらうことが必要。歴史遺産は建物だけではなく、この街に根付いてきた「生きた」遺産でもあり、それはマラッカの文化、そして人々である。
今は観光客で溢れかえるマラッカの街にもかつては大勢の職人が住んでいた。ところがこれらの職業は現代においては良い金儲けにならないため後継者もなく、この街からどんどん消えている。これに代わって今はみやげ物屋がひしめき、どこもかしこも似たような商品をおき、しかもその大半はマラッカやマレーシア産ではなく外国産のものばかりだ。
観光客が求めるのはこんな街ではない。観光客はこの街の本当の姿を見たがっている。
国にはこれらの伝統的な職業を保護し、次世代につなげてほしい。特別なライセンスを与えるようにするとか、賃貸や課税などの負担を軽減するといった方策をとるべきだ。国や大手企業にはこれらの伝統的職業を守るために財政的な協力を求めたい。
・・・という以上の内容です。
ジョセフィーヌさんは私だけではなく世界各地からやってくる研究者たちにマラッカを案内してきました。私がいつもマラッカに感じることは、マラッカ側がよかろうと思って提供するものと、我々外国人が見たいと思うものにあまりにも隔たりが大きいということです。「バリやタイ、中国産のみやげものが並ぶマラッカなんて見たくない。この街の本来の姿、人々の生活が見たいのだ」という私たちの要求を彼女はよくわかっています。
またババ博物館の館長さんもよく言っていますが、「マラッカやプラナカンの文化に興味を持ってくれるのは、外国人旅行者だけ。アジア人では日本人くらい。ローカルが興味を示さないのが残念でならない。ローカルはジョンカーウォークのみやげもの屋で満足して帰ってしまう」と。
私の本でも「マラッカ裏道散歩」というページで紹介しましたが、土産物屋がひしめくジョンカーから一歩裏に入れば、今でも職人さんたちの姿を目にすることが出来ます。しかし、その大半は高齢者で、この人たちが亡くなれば、もう跡継ぎがいないというのが現実なのです。
そして正しい歴史認識。マラッカには「伝説」が多すぎるのです。たとえば、プラナカンのルーツに利用される「ハンリーポー伝説」もその一つ。マラッカの王国に明国の姫ハンリーポーが数百人の家来を従えて嫁いできたという伝説です。これは『マレー年代記』には記述されていますが、肝心の中国側の歴史書や『明史』にもこんな話はまったく記載されていません。そもそも、世界の超大国であった明が、こんな小さな国に姫を嫁に出すでしょうか?それが本当なら日本にも姫を送っているでしょう。中国の書物には、マラッカ王国の王がやってきたときに、マラッカ王の帰国の際に女を付き添わせたという記録があるのみです。そしてその女は特別な地位を持つ人物ではない、と記されています。
ところがマラッカでは今でもハンリーポー伝説がまことしやかに語られているのです。ちなみに、ハンリーポーではなく、ハンリウというのが実際にマラッカ王の妻になった中国女性の名前だそうです。
また、明からは鄭和が船団を率いて数回マラッカを訪れています。鄭和は明の宦官でしたが、イスラム教徒でした。チェンフンテン寺の建設に鄭和が関わったとか、とんでもない話をする人もいます。常識的に考えてください。イスラム教徒が仏教寺院を建てるでしょうか?
ジャラン・カンポン・クリには、マレーの勇士ハン・ジェバットの墓があります。しかし、この墓は本当に彼のものなのか?そのお墓のつくりは、王族用のつくりになっています。ハン・ジェバットは王族どころか、王に反逆した荒くれ者ですらあり、彼の死体は海に捨てられたと書かれていたと思います。なのに、なぜここに立派な彼のお墓が?
きちんとした検証もせず、いい加減な観光名所を作る、そんなことがユネスコ世界遺産都市にあってはなりません。
PR
この記事にコメントする
- ABOUT
プラナカンを中心に、シンガポール・マレーシアの話題をお届け。食べ物・旅行の話題が中心です。
- プロフィール
HN:
Miki & Chie
性別:
女性
自己紹介:
シンガポールとペナンに住んで20数年、プラナカン協会会員です。ライター&コーディネート業務に携わっています。ご依頼・お問い合わせは下記ホームページからお願いいたします。
- 便利ツール
Amazon 私たちの書籍もアマゾンでお求めいただけます
- カテゴリー
- 最新コメント
- 最新記事
(03/16)
(02/15)
(02/02)
(01/22)
(01/12)
- ブログ内検索
- カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
- 最新トラックバック
- カウンター
- アクセス解析