中国広東系の文化圏に入るという海南島は中国の南端にある大きな島で、その昔、マレー半島への移民の中には、この島の出身者も多かったのです。
中国からの移民は、出身地別に就く職業が異なっていたそうです。海南人が就いた主な職業は雇われコックでした。その昔、海南人が「コックはいらんかえ~♪」とお屋敷を周って歩いたそうな・・・。
そんなわけで、多くの海南人がプラナカンの家やイギリス人の家でコックとして働いていました。戦後は独立してレストランをオープンした人も少なくありません。今でもシンガポールやマレーシアの“洋食”の店はふつう海南人のお店です。海南といえば、「海南鶏飯ハイナニーズ・チキン・ライス」が有名ですが、チキンライス屋でも、洋食メニューが置いてあることは珍しくありません。また、ニョニャ料理店のオーナーが実は海南人だ、ということもよくあります。
海南食堂の名物と言えば、ポークチョップ、オックステイル・シチュー、ミート・パイなどです。もちろん、海南チキンライスやニョニャ料理、そして海南火鍋(鍋料理)などを出す店も少なくありません。
どういうわけか、この海南食堂にはどうしても後ろ髪を引かれてしまう私たち、海南ポークチョップが大好物です。お店によっても、衣をつけて揚げたものにブラウンソースがかかっているもの、酢豚風にケチャップ系のソースがかかっているもの、衣はつけずにソテーしてブラウンソースをかけたもの、など、さまざまです。
私たちが今のところ一番気に入っている海南食堂は、ペナンから車で1~2時間ほどのところにあるタイピンというペラク州の小さな街の目抜き通りJalan KotaにあるWan Liという店です。この町はその昔、錫鉱山で栄えたところで、プラナカンの大金持ちもいたところです。
Wan Liは非常に質素な食堂で、ニョニャ料理なども含む中華惣菜がメインですが、洋食メニューも充実しています。ここのポークチョップは衣なしソテーのタイプで、ワインのきいたブラウンソースがかかっています。このソースの味が、私の出身地・浅草に昔あった洋食屋アリゾナの味を髣髴させるため、実は涙ちょちょぎれそうになりました。このほかにボリューム満点のチキンチョップもおいしいし、フィッシュ&チップスも業務用冷凍モノを使うのではなく、自家製であるのがわかります。添えてあるポテト・フライやミックスベジタブルも、市販品ではなく、そのちょっぴり不揃いな形状からお店で手作りしているのがバレバレです。泣かせるではありませんか?
ここはコーヒーもおいしく、とくにアイス・コーヒー(コピ・ペン)がおすすめ。濃厚でコクがあるのに、苦味はあまり強くありません。アイス・コーヒーだと、カプチーノみたいに泡立っちゃってたりします。
本当にこんな店、今どきマレーシアでも貴重な方だと思います。
ペナンの老舗、Shing Kheaung Aunという海南食堂はペナン式ニョニャ料理がおいしい名店ですが、ここでもポークチョップを出します。ペナンの特徴的な調理法に、芋をマッシュしてそれを加えてソースを作る、というのがありますが、ここのポークチョップのソースもジャガイモのマッシュしたものが加えられています。ほんのりトマト味のやさしい味のソースが、なんともいえず、ノスタルジックなのです。
御本家イギリス料理にはあまり興味がもてませんが、“舶来の味”、そして東洋人の手にかかった“洋食”というのにはなぜだか惹かれてしう私です。
洋食が日常の一部だった、浅草っ子の性でしょうか・・・・・?
- 幸せな味です。
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