アモイの名物料理といえば、誰もが口にする「沙茶面」を書かないわけにはいきません。すりつぶしたピーナッツがたっぷり入った、甘くてほんのりスパイシーなスープに、丸太のイエロー・ミーが入った麺料理です。具は選べますが、厚揚げや海老、イカげそ、レバーなどの臓物類が色々入ります。
コクのある独特のスープは各店で秘伝なのでしょうが、サテーソースとしておなじみの沙茶醤にピーナッツをたっぷり加えたスープとでも言えばいいのでしょうか、シンガポールやマレーシアにおける「ラクサ麺」のようになくてはならない存在がこの「沙茶面」なのです。街中のいたるところで看板を見かけます。その中で、観光客でも食べ歩きをしやすい中山路近辺で4件食べ歩いてみました。
個人的なイチオシは「大中沙茶面」(写真上&左)。中山路を海側から歩き、少し行った左側の路地にあります。4件紹介する中で、ここのスープは一番濃厚なタイプ。ピーナッツの香りやゴマの風味、理解不能なスパイスなど、ラクサ麺のように複雑な味がたのしめます。すりおろしたニンニクも載せてくれ、スープに絡めて食べるともう止まりません。麺もスープも一気に平らげてしまいました。量が少ないのでお腹が空いている人は軽く2杯は食べられるでしょう。ここで出す「面線糊」もおいしそうでした。
お次は同じ中山路にある有名なピーナッツ・スープの店「黄則和花生湯店」で。ここで沙茶面などちょっと邪道か?と思いましたが、的中。スープは薄くてコクがなく、トッピングも寂しく、やたらと量だけは多かったです。やはりここでは花生湯や、オイスターオムレツ(レジのすぐ横で焼いています)芋包や甘いもの類がおすすめのようです。お正月にしか食べないと思っていた「年糕(ニャンガオ)」が沢山売られていたのは嬉しい驚きでした。
中山路から2つ北を平行に走る庶民的な雰囲気のある「大同路」にあるアモイ小吃の老舗「呉再添」。アモイの小吃のほとんどを食べられる便利なお店ですが、ただ、料理の名前を知らないと注文が難しいので食べたいものの名前くらいは中国語で覚えていって方が良いです。ここの「沙茶面」は食べ歩いた4件の中で一番個性的でスパイシーな味付け。五香粉や、かすかにカリー粉のような香り、ほどよいコクがあって美味でした。ただ麺がゆるゆるなのが残念。ここの沙茶面を食べると、いったい何でダシを取り、どんなスパイスを入れているのか?知りたくてたまらなくなります。
もうひとつ、あふれんばかりの人々が軒先まではみ出して沙茶面を食べていた
「(又欠)(又欠)」(又へんに欠のつくり)住所は「定安路8」
中山路と思明南路の交差する一歩手前を右に折れたところ。角にある大きなスーパー「多好又多」の横の道にあります。中山路にあるプランタン百貨店の裏にも同じ店があるようで、緑色の看板が目印です。ここの「沙茶面」はスパイスのバランスがとても良く、コクがありながらもさらりとしたスープが印象的。麺のゆで加減も絶妙でした。毎日食べても飽きない味の沙茶面でしょう。
今回お店の前まで行って売り切れ終いしていたのが有名な「烏糖沙茶面」。民族路の醤油工場わきにあるお店で、評判を聞いて足を運んでみましたが、時すでに遅し!次回のたのしみにとっておきましょう。
アモイといえば、グルメの間ですぐに思い浮かぶのは「面(麺)線」と呼ばれる小麦粉でできた極細麺。日本のソーメンよりもまたさらに細くビーフンほどの細さの麺です。長生きの意味もこめて、麺をぶちぶちと切らず、長いままぐるぐると束ねてあるので、ゆでる時も食べる時も大変でしょう。
プラナカンたちは誕生日に毎年この麺線を甘いスープに入れて食べ、長生きを祝うというほど、福建の人たちにおなじみの麺がこの面線です。
この面線を炒めた「炒面線」はアモイのどこのお店でも食べられるポピュラーな焼きそばで、豚肉や野菜、椎茸、干し蝦などを入れ、沙茶醤や独特の醤油で味をつけます。できあがりの料理は茶色をしていますが、食べてみると決して濃い味付けではなく、奥の深い素朴な味わいです。
しかしこの面線を使っての一番の人気もの、といえば私も今回の旅ではまってしまった「面線糊」でしょう。
この料理一品だけで商売している店が沢山あることから、庶民にはおなじみの麺料理です。どんなものかというと、その漢字からも想像がつくとおり、面線を糊状にくたくたに煮込んだ、いわば麺の「お粥」。
スープはお店によっても違うのでしょうが、豚や干し蝦や貝柱などでダシを取り、具には細かく刻んだ豚の臓物やベイビー・オイスター、豚の血のかたまり、つみれなど様々です。
臓物のコクもあいまって絶妙なコッテリ感と、クタクタに煮込まれた麺が優しい味のとろみを出しており、毎日でも食べたいほど病み付きになりました。臓物類の臭みを消すために、チャイニーズ・セロリと呼ばれる芹菜や、生姜の香りが味のアクセントになっています。葱を炒め、葱油を加えてもおいしいです。これは台湾などで同じものがあり、風邪を引いた時にお母さんが作ってくれたり、夜食などにもよく登場する消化抜群の麺料理です。麺といえばアルデンテが好みの日本の人には好き嫌いが分かれる麺料理でしょう。
そのほか、「ビンナン風焼きそば」として、米粉でできた平たいうどん状の麺(タイなどで食すクゥイティアオよりは厚みがあり、ベトナムの麺料理ミークアンと同じような食感)の焼きそばもおすすめです。もちもちとした米粉麺は舌触りが心地よく、味も面線炒めと同じように濃すぎず、飽きずに食べられる味です。この焼きそば、シンガポールで人気のある麺、フライド・ホッケン・ミーにも味付けが似ていました。(ただし福建省ではこのような麺料理はみかけず、故郷に思いをはせたシンガポール人が生み出した麺料理なのでしょう)
海鮮料理の味付けもそうでしたが、これらの麺を味わっただけでも福建省の人は塩辛い味を好まず、辛いものもあまりなし、という味の嗜好がわかるような気がします。その代わりベースとなるダシはしっかり取る。
もうひとつ潮州料理でもよくみかける魚のすり身にでんぷんを合わせて麺状に押し出し、それを野菜などと炒めて食べる「魚麺」もあります。カマボコのような歯ごたえの麺に、しっかりダシが絡んで、これもなかなかオツな味です。
さあお待ちかね、アモイのグルメの数々を、小吃と麺の3回に分けて紹介しましょう。
アモイといえば、香港や上海、北京などにも海鮮を輸送していることから海鮮料理が有名ですが、実のところ、魚はいくらフレッシュでも、お値段が安くても、競争の激しい香港などで食べるキリリと引き締まった味付けの洗練された海鮮料理とは程遠く、ちょっと田舎っぽい素朴な味付けです。好みはいろいろ分かれるでしょうが、どうせ素朴な味付けなら絶対に庶民的食べ物のほうがおいしいはず!と連日小吃(軽食)を食べ歩いてみました。
まず、ちょっとグロテスクで、こんなもの他では見かけたことがないというアモイ名物の一つ「土笋凍」というジェリー状の不思議な食べ物。
日本語では素材を断言できませんが貝と虫?を足して2で割ったようなものが透明な煮こごりの中に入っており、それを醤油や各店自慢のタレにつけて食べるというものです。少し磯臭いにおいがすることから、フジヅボやイソギンチャク?ヒトデ、もしくは小指のように細い貝が市場で沢山売っていたので、これかな~~?とも思ったり。好き嫌いのはっきり分かれる食べ物だと思います。
お次は「油葱稞(椀粿)」同じものが台湾にもありますが、小さなお椀の中に米の粉を溶いていれ、上から肉や椎茸、干し蝦などをトッピングして茶碗蒸し状に蒸したもの。中に具材を混ぜて蒸したものもあります。これと同じような食べ物はベトナムのフエで食べるバイン・ベオやシンガポールのチィークエなど様々ありますが、工夫をこらし、姿かたちを変えて食される米の文化は奥が深いな~~と思わせる料理です。つるりと入るさっぱり味なので日本人でこの味が嫌いな人はいないでしょう。
お次は「芋泥、芋包」など、芋でできた皮で包まれた蒸し饅頭。これも台湾と同じです。大人の握りこぶし大は優にあるので、これをひとつ食べたらお腹がパンパンに膨れてしまいます。ヤム芋(タロイモ)や、サトイモの一種の芋で饅頭の生地を作り、中には豚肉や干し蝦や野菜がぎっしり入っています。場所によっては辛いチリソースをかけてくれるところも。しっかり食べたいおやつに最適です。
プラナカンのニョニャ料理でもポピュラーな「ノーヒャン(炸五香巻)」も福建料理の軽食の一つです。五香粉で味を付けた豚のひき肉の中に、シャキシャキとした中国クワイなどを混ぜ込み、シート状に広げた湯葉で包み、海苔巻きのように細長く巻いて揚げたものです。シンガポールでも人気で、どこの屋台でも食べられますが、アモイのものは湯葉がさらに極薄で外はパリパリ、中の肉もペーストのようにスムースで、シンガポールで食べるものよりずっと軽い味でした。
このノーヒョンはちょっとお洒落なレストランでも前菜のメニューなどに載っていますから是非お試し下さい。
もうひとつ、アモイはワンタンも有名で、ワンタンのことをアモイでは「扁食」と書きます。羽二重餅のようにデリケートな皮から、ぷりぷりの肉餡がピンク色に透き通って見えるところなぞ、早くかぶりつきたい!と思わせるほど。
日本で食べるワンタンは具も皮も酷いものが多いですが、香港やアモイで食すワンタンは本当においしいですね。
そのほか、ポピアのように甘い「葱糖巻」や、具だくさんの「粽」、ピーナッツがトロトロに煮込まれたおしるこ風の「花生湯」など、まだまだとうてい紹介しきれません。
最後にもう一つ「オイスターオムレツ」を。ベイビー・オイスターと呼ばれる、小ぶりで甘いオイスターを卵と野菜で絡めたオムレツというか、スクランブルド・エッグです。シンガポールでも屋台街や、潮州料理屋さんで食べることができます。アモイの街で見かけ、とてもおいしそうでした。
こんなに小吃が充実しているのですから、アモイの人は日に何回食事をするのでしょうか? 外資系のファースト・フードなんていりませんね。
大同路にある「呉再添」や、地元料理を出す老舗レストラン「好清香大酒楼」などへ行けば一箇所でほとんどが食べられます。味もいいですよ。
↑福建の伝統的ゲーブル(切妻の屋根)がついた建築(コロンス島にて)
ジャカルタの屋台は、タイやマレーシア、シンガポールなどと比べると、料理の種類も少ないように感じます。大体バクミー(肉団子入りの麺)、サテー屋台が大半で、たまにナシ・グドック、ナシ・ゴレン、揚げ物などもありますが、やはり種類が限定されていると思います。
今回仲良くなったプラナカンのマダムの家(ジャカルタ南部の住宅地)にいったときに、ちょっと面白いものを売っている屋台を見つけました。調理行程を見ますと、ピーナッツをつぶしたペースト状のものに、ニンニクとチリを合わせてつぶし、そこにパームシュガーや水だのを加えてサラダクリームのようなものを作り、これを揚げ豆腐、クトゥパ(炊いたお米の固形)、野菜にかけてくれます。「これはロジャか?」と聞いたら、違う名前を教えられましたが、ちょっと名前忘れました。
食べたくなったので、一つ作ってもらい、マダムの家で食べようとしたら、マダムが「インドネシアの屋台料理は危険なのよ。コレラなんかもあるんだから、やたらに食べちゃだめよ」と叱られました。「私らですら、屋台のものを食べるときにはこのタブレットを飲むのよ」と炭が主成分の錠剤をくれました。なるほどな・・・・。メキシコで街中で見るものを片っ端から食べて、夜中15分おきにトイレ、という大変な下痢になってアメリカでぶっ倒れたことを思い出し、世の中甘く見てはいけないなと改めて思った次第です。でも、そのロジャのようなサラダ風料理はおいしかったですよ。
ジャカルタでよく見かける屋台料理がバクミーです。どう考えても中国料理です。バクとは福建語で「肉」、ミーは「麺」ですから。客家麺やマレーシアのサラワク名物のコロミーにもよく似たタイプの料理で、湯がいた麺の上にひき肉の煮物(ジャカルタの場合は鶏肉を煮たもの)をのせたものです。ひき肉の煮汁をよく麺に混ぜあわせて食べます。スープは別に添えられ、そこに肉団子が入っています(麺の上に肉団子やわんたんをのせる場合も多いです)。肉団子はたいてい水牛の肉のようです。イスラム教徒が多い土地ですから、豚肉は使わないものが多いです。おいしいところで食べればとてもおいしいです。ちょっと今回の旅ではハズレでしたが、前回食べたのはとてもおいしかったです。そこはお客さんもいっぱいでした。道端にベンチをしいただけ、という屋台がほとんどですが、やはり客の入りでお店は選んだ方がいいですね。それから、インドネシア人はインスタント麺が好きなようで(または製麺業者があまりいないのか?)、インスタント麺を湯がいて出すところもすくなくないですが、それは私的にはあまりいただけなかったです。
それから、今回教えてもらったちょっとヒットなスイーツがこれ。なんだと思います、これ?
ナツメグの実を、花のように切り開いて砂糖漬けにしたものです。ナツメグの味はかなりマイルドで、ちょっぴりスパイシーな砂糖漬けフルーツと言う感じで、紅茶などと一緒にいただくと良いです。こんなの、ナツメグが名物のペナン島でも見たことがありません。ちょっと面白いお土産になりそうです。
インドネシア全土からクラフト業者が2000店も集まるこの見本市は、世界から集まるバイヤーだけではなく、
一般客にとっても、ジャカルタにいながらにして、インドネシア全国の郷土品、工芸品がゲットできる
とっておきのチャンスです。
やはり主となるのはバティックで、プカロンガン、ジョグジャカルタ、ソロ、チレボンなどの有名産地からのものはもちろん、ちょっと見たことないユニークなバティックを製作する業者も来ているのですから、一軒一軒、気を抜くことができません。よって、3日間通い続けて、ようやくすべて網羅できたかな、とやっと安心できるのです。
プラナカンたちが好んだというプカロンガンやチレボンのバティックは、今はシルクのものが主流で、「いやー、これはすごいな」と思う、手の込んだトゥリス(1点1点すべて手描きのもの)などは大体400~500ドルくらいで売られていました。あまりバティックのことはわかりませんが、それはそれはものすごい数のお店ですから、もう段々頭ン中はぐるぐる状態になり、そのうち寝ても覚めても頭の中はバティックだらけになるのです。
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