日本から取材にいらっしゃるメディアのお世話を何度かしていますが、ほとんどの方が同じ勘違いをされていることが多いようです。
多分基本的すぎて、今さら聞けない?それとも、まさか勘違いしているなんて、と気がつかれてないのかもしれません。
それが「マレーシア」を「マレー」と呼ぶこと、
さらに「中国系マレー」「インド系マレー」という言い方。
マレーシアやシンガポールに住んでおられる方なら、「アラマ!」ですよね。
「マレーシア」は国名、「マレー」は人種とかその言語、文化。
まず、どうやらご存知ないのかもしれませんが、この世界にはマレー人という人種が存在します。「マレー」は人種をさします。国ではありません。こういう人たちです。
マレー人はマレーシアやインドネシアの東南アジア一帯だけでなく、アフリカにも分布しています。
「マレー人」は人種であり、
マレーシア国民を意味する場合は「マレーシア人」「マレーシアン」と呼ばなくてはなりません。
ですから、「中国系マレーシア人」「インド系マレーシア人」が正しい言い方です。
なんでも略していうのがお好きな日本人からしたら、マレー、マレーと言いたくなるのかもしれませんが、マレー人にとっても華人やインド系の人にとっても、失礼になります。
シンガポールも基本的に同じ人種構成です。でもシンガポールで華人に「マレー」呼ばわりする間違いはまずありませんね。ときどき区別の付かない人もいますけど(笑)。
それから、ババのことをババニョニャと呼ぶのはとっても変です。なんだかしりませんが、いつの間にやら近年マレーシアではババニョニャって呼ぶようになったんですよね。シンガポールでは今でもないと思いますけど。ババのことを知らない、あるいは自称ババニョニャのマレーシア人に限って、そう呼ぶのです。これは生粋のババの人たちからお怒りを買っていますよ。
多分、私の推測ではマラッカの「ババ・ニョニャ・ヘリテージ博物館」の影響では?ですから、今、彼らの名称は「ババ&ニョニャ・ヘリテージ博物館」に直しています。
そしてもっとひどいのが、「ババニョニャ民族」という日本人。彼らは民族ではありません。コミュニティー、グループと考えるべきです。江戸っ子を江戸民族と呼びますか?それと同じなんです。彼らは民族的には華人、チャイニーズなのです。同じ社会、習慣、文化、歴史を共有するグループにすぎません。
マレー人と中国人との混血人種、というのもとんでもない間違いです。マレー人の子供は宗教上イスラム教徒になり、マレー人になるとみなされます。有名なシェフ・ワンもお母様はニョニャですが、彼はマレー人です。ババにはなりません。
現在、プラナカン、ババ、ストレイツ・チャイニーズは同じグループの人々を指す、とされています。プラナカンはご存知のように、アラブ系、インド系、ヨーロッパ系も存在しますから、正式にはプラナカン・チナ、プラナカン・ジャウィ、などと呼ばなくてはなりませんし、それぞれ違ったグループになりますが、プラナカンの中にプラナカン・チナ=ババが存在し、しかも大多数がプラナカン・チナだからです。でも最近はプラナカン人気に便乗して、プラナカンなんとか、という人たちが増えたようです。なんと、プラナカン・マレーというグループまで登場しているとか??
私は普段はプラナカンという呼び方はせず、ババという言い方を使うようにしています。それが彼らに対する敬意であり、こだわりだと思っています。それに、プラナカンは戦後になって、とってつけた呼び方だからです。彼らは伝統的にババ、と呼ばれてきた人たちです。でも日本人むけには、ババよりもプラナカンの方が響きがよいので、日本で本を出したり講演会をするときは、関係者と相談の上、プラナカンを採用しています。
- Miki さん
広い意味で使われるプラナカンという言葉は後から付けられた比較的新しい言葉で、その中でプラナカン・チャイニーズの人は昔からババと呼ばれていたのが本当です。
ただ、今現在のシンガポールでプラナカンと言うと、殆どがババ&ニョニャのことを指すことが多くなりましたね。彼らの財力もあり、今も残る文化や食事や風習が、他のプラナカン・グループよりも顕著だからかもしれません。
Mikiさんが仰るように、日本での講演会や書籍などのタイトルや記述には担当者と相談して、広い意味でプラナカンを使い、中では必ずプラナカン・チャイニーズの説明をしています。
そんな中で一番多い間違いが、
プラナカンとは、中国人とマレー人との混血人種、あるいはその子孫。
だとすると、ババたちはみんなイスラム教徒?と思われてしまいます。混血人種と言う表記もNGです.。
また、マレーシアという国をマレーと呼ぶ。
マレーシアの料理全体をマレー料理と呼ぶ、などなど~、以前ASEANセンターで行った講演会でも2人で説明しましたが、さすがASEANセンターへいらした皆様は、そう!そう!とうなずいて下さいましたよね。
今やプラナカン・マレーと言うグループも出来たとは、ビックリです。
こうしてプラナカンという呼び名も時代とともに変容していくのでしょうか。。
誇り高いババたちからしたら、笑いが止まらないか、シカと「無視」でしょうけれど。
- 無題
シンガポールにもチッティーやユーラシアンのコミュニティーはありますが、とても小さい。もともと彼らをプラナカンと呼ぶ習慣がないから、シンガポールではプラナカン=プラナカン・チナ、ババとなるわけです。
プラナカン、ババについて理解するためには、シンガポール、マレーシア全体、プーケットやインドネシアまで広く考察する必要があります。一箇所だけで語るのは誤解を招くだけです。
- 無題
ババ、プラナカン・チャイニーズについては更に複雑です。
彼らが話すババ・マレー語からも分かるようにインドネシア語や福建語なども入り混ざった超ちゃんぽん。レシピにはオランダ語やポルトガル語も出てきますし。
仰るように、ババを理解するには大航海時代も含めて彼らが点在していた様々な場所の考察が必要ですね。
土着化してアイデンティティーが失われつつあるババもいれば、今もなお昔ながらの風習を守るババもいる、次回はプーケットのババを訪れてみたいな~、と思います。
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