福岡まで足を運べなかった方々には朗報です。
先日のブログでも紹介させていただきましたが、4月~6月12日まで福岡市美術館で行われているサロン・クバヤの展示が、7月26日~9月25日までの2か月間、今度は東京の松涛美術館で開催されます。
プラナカンきっての名家であるリー家のコレクションを中心に、サロンとクバヤ、インド刺繍のローブ、ニョニャが身につけたジュエリーやビーズのサンダルなど、約140点ものプラナカンのファッションアイテムが展示されます。
個人的には制作過程の秘密性と、緻密に描かれた模様、限られた数しか作られなかったことから「幻のBatik」ともいわれる「ホウコウカイBatik(カイン ホウコウカイ)」が見られるのが楽しみです。
このBatikは第二次世界大戦下、インドネシアにおいて日本軍政に協力した一部の人たちに「褒賞」として贈られたこともある、というもの。
「ホウコウカイ⇒奉公会」という言葉の裏には様々な歴史的背景が詰まっているようです。
その模様は桜や菊の花など、日本の友禅模様のモチーフがインドネシアの著名な作り手によって描かれたもので、精緻なテクニックと優美な色合いはBatikの最高峰といわれてもおかしくない珠玉の名品ぞろい。今回展示されるのはLee家所蔵のものですから必見です。
◆7月31日(日)には、福岡の時と同じようにピーター・リー氏による「サロンクバヤとシンガポール・プラナカンのファッション(仮題)」についてのレクチャーが行われます。
◆9月17日(土)には、いつもお世話になっているプラナカンビーズの刺繍家、
下山田幸子さんによる「プラナカンビーズ教室」もありますので、詳しくは松涛美術館のホームページをご覧ください。
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/169sarongkebaya/
それがこちら:
Chieさん覚えてるかな?
アメリカ人の教授で著者のRonald Knapp氏と私たちはマラッカで会っています。
逗留先も同じホテルで、「君たちの本を買ったよ。これを見てこれからペナンまで行くんだ」とのことで、彼らの車をホテルの前から見送りましたね。
当時はまだプラナカンの取材ではなく、マレーシアの中国建築の本を出すための取材旅行に来ていた彼でしたが、数年後、このとおりプラナカン様式の建物の本を出版されたのです。
ああ、とうとう出したんだな、と思って、この本の存在は知っていましたが、
きちんと中を見ませんでした。
それが今日、たまたまフタを開けてちょっと嬉しい気分に。
ちゃんと参考図書の一覧に、私たちの名前を出してくれてましたよ〜。
いつかまたお会いする機会があるような気がしてなりません。
昨日熊本では震度7、九州全域で大きな地震があったばかりです。今もなお余震が続く中、被災された方々には心からのお悔やみと、お見舞いを申し上げるとともに、一日も早い収束を願ってやみません。
心が痛む中でのご紹介となってしまいますが、福岡市美術館(Fukuoka Art Museum)にて、日本とシンガポール外交関係樹立50周年を記念し、プラナカン・ファッションの最高峰ともいえる品々を集めた展覧会が4月17日~6月12日まで開催されます。
「サロンクバヤ:シンガポール麗しのスタイル、つながりあう世界のプラナカン・ファッション」 と名をうち、シンガポール国立アジア文明博物館および、プラナカンきっての名家であるリー家のコレクションを中心に、サロンとクバヤ、インド刺繍のローブ、ニョニャが身につけたジュエリーやビーズのサンダルなど、約140点ものプラナカンのファッションアイテムが展示されます。
初日の4月17日には、朝9時からオープニング・セレモニーが予定され、午後からは美術史家&本展覧会のゲストキュレーターでもあるピーター・リーさんによる講演会「サロンクバヤ:プラナカンのファッションとアイデンティティ1600-1950」 が開催されます(予約制)。
リー氏の講演会は以前シンガポール国立図書館などでありましたが、プラナカンを研究する上でファッションとそのアイデンティティという大変興味深い内容を日本で拝聴できるのはとても貴重なことです。
まず、リー家について簡単にご説明しましょう。
プラナカンの世界においてシンガポールのリー家というのは、マラッカのタン・チェン・ロック家と並ぶ名門中の名門です。
ちなみにタン・チェン・ロック家とリー家は親戚関係にあり、シンガポールのババ・ハウスに多額の寄付をしたタン・チェン・ロックの末娘アグネス・タンさんは、ピーター・リー氏の叔母さんにあたります。
今回キュレーターを務められるピーター・リーさんは数々の名著を執筆されているプラナカン研究の第一人者でおられ、またバティックの収集家としても世界的に有名な方です。そしてお兄様はなんと、著名なアーティストのディック・リーさん!(オープニング・セレモニーにはディック・リーさんも参加予定。)
また、お二人のお父様リー・キップリー氏は前シンガポール・プラナカン協会の会長さんを務められ、お母様はプラナカン料理の研究家という、栄華を極めたプラナカン・スタイルを今でも体現、存続させている名家なのです。
私たちの著書でも紹介させていただいておりますが、リー・キップリー氏にお話しを伺いにMikiさんとともに大きなプールがあるモダンな大豪邸に伺った時には、長~い廊下の一面に、代々続くご先祖様の等身大の肖像画が飾られていたのにはびっくりしました。また、床から天井まで本がぎっしり詰まったお父様のお気に入りの書斎では、プラナカンの話とともに私たちが日本人ということもあったからでしょうか?シンガポールが昭南島といわれていた時代の貴重な話なども聞かせていただきました。ピーターさんは奥の部屋でアンティークのバティックをずらり並べて研究されていらしたのを今でも覚えています。
代々続く伝統を守り、人並みはずれた審美眼を持つプラナカンの名家、リー家の所蔵品の数々はドギツイ色合いは一切なく、限りなくフェミニンで上品で、繊細な刺繍やサロンとのコーディネイトは、日本人の感性にもフィットするものばかりです。
期間も長いですので、ご興味のあるかたは足を運ばれてみてください。決して期待を裏切らない素晴らしいコレクションを堪能できるはずです。
詳細は下記まで。
◆サロンクバヤ、シンガポール麗しのスタイル
つながりあう世界のプラナカン・ファッション
Singapore, Sarong Kebaya and Style
Peranakan Fashion in an Interconnected World
(会期)2016年4月17日(日)~6月12日(日)
福岡市美術館にて www.fukuoka-art-museum.jp/
開館時間:9:30~17:30(入館は17時まで)月曜休館
女性の心をくすぐる様々なアイテムが魅力の通販サイトFelissimo(フェリッシモ)さんから、プラナカン・スタイルのビーズ刺繍が月に一回、自宅で体験できる通販手芸キットがお目見えしました。(写真は全てフェリッシモさんのサイトからお借りしております)
フェリッシモさんの手仕事サイト「クチュリエ」では、「美しき刺しゅうの世界」というコーナーが設けられ、ハンガリー刺繍やイギリスの伝統刺繍、東北の刺し子など幅広く様々な刺繍が楽しめるようになっています。その中でプラナカン・スタイルのビーズ刺繍が登場。デザインや刺繍の手ほどきなどは東京でプラナカンビーズの教室をしていらっしゃる下山田幸子先生が監修。
作るものは用途のひろい「ポーチ」や「がまぐち」です。
時間はかかりますが、出来上がりはこんなに可愛らしくフェミニン♡♡
これと同じものをシンガポールやマレーシアで購入しようと思ってもありませんので刺繍好きの方は是非!
「手作りの本 クチュリエ」も書店に並んでいるそうです。
ご興味のある方はこちらまで。
felissimo.co.jp/couturier
焼き物で有名な愛知県常滑市で苗族刺繍博物館の館長をされている佐藤瑞代さん、彼女は中国ミャオ族の刺繍を愛するあまり、貴州省に刺繍学校を私設で開校し、また日本では古民家を博物館にしてミャオ族の刺繍を広く紹介するなど、そのほとばしる情熱は日本女性の誇りともいえましょう。
今回、満を持して『ミャオ族の刺繍とデザイン』を出版され、その刊行を記念して本の販売と刺繍の展示イベントが西池袋ポポタムで行われます。
現在既にキャンセル待ちとなっておりますが、会期中はスライドを見ながらのミャオ族の世界や、ミャオ族の刺繍のワークショップなどもあります。
(以下、写真も全て佐藤瑞代さんのホームページから許可を得て掲載させていただいております)
名もなき女性達が咲かせた、手技の華
<王侯貴族のためではなく家族のための途方もない手仕事>
中国西南部に暮らす少数民族・ミャオ族は、綿花や麻、蚕を育て、糸からつむぎ、農作業の合間をぬって何年もかけて作り上げた服を身につける人々。あるときは愛しい人、あるときは生まれてくる子どもの魔除けのため、吉祥のモチーフを隙間なく刺繍したおぶいひも、など、民族の物語を伝えるバイブルとして代々残してきたのです。身のまわりの動植物や想像上のいきものを独自の目線で切り取り、天才的な配色と技術、そして想像を絶するほど根気のいる針仕事でつくられたさまざまな衣服たち。ミクロのスケールで表現された世界観。ミャオ族に魅せられた著者が現地で少しずつ蒐集した素晴らしいコレクションが『ミャオ族の刺繍とデザイン』(大福書林)という一冊の本になりました。
刊行を記念し、苗族刺繍博物館の所蔵品をお借りして展示を開催します。精緻な手仕事の美しさと芸術性を、手の届く近さで味わってください。少しですが展示と併せて、刺繍古布も販売予定。
『ミャオ族の刺繍とデザイン』苗族刺繍博物館・著
B5判変型上製・160ページ・フルカラー 2800円+税
3月中旬、大福書林より発行・発売
ため息が出るほど美しい写真と、丁寧な解説がちりばめられた素晴らしいホームページを読ませていただくだけでも大変勉強になりました。ニョニャのクバヤ刺繍とは違った重厚な質感や緻密さ、様々な種類のテクニック、生活する人々の世界観まで知る事ができます。
また、丹精込めて縫い上げる苗族の刺繍に対する考え、刺繍の腕が良い=能力が高く、根気強い、働き者=良い娘・良き妻、刺繍が上手な娘ほどモテる、という方程式はニョニャと全く同じ。忍耐のいる手仕事のあり方というのは万国共通なのかもしれませんね。
今までインドネシアのイカットや更紗展、ラオスの織物展示会などを紹介させていただきましたが、どの作品もそこに暮らす人々の営みや生命力、女性ならではのセンス、そして家族を守る祈りなど、1枚の布に込められた尊い思いが伝わってきます。
◆展覧会の詳細は下記まで
2016年4月8日(金)~13日(水)13:00~20:00(最終日は17:00まで)
会期中無休 入場無料
東京・ブックギャラリーポポタム http://popotame.net
東京都豊島区西池袋2-15-17 TEL:03-5952-0114(電話のみ)
◆ミャオ族の刺繍を育てる会&苗族刺繍博物館のホームページhttp://miao-japan.com/
東京は桜の花がほころび始めました。
しばらくバタバタしており、久しぶりのブログのアップとなりましたが、本日は色々な人たちから「かなりおいしい!」と聞きながらも、なかなか食す機会がなかった成城石井の「シンガポール風ラクサ」をやっと試すことができましたので簡単な感想を。
ラクサはこのように具にスープも全て入った、電子レンジでそのまま温めるタイプ。
温める前はスープは見えません。ゼラチンで固めてあるのでしょうか?
お持ち帰りのためにきちんと考えられていますね。
そして、温めるとみるみるうちにスープが器を満たします。
麺は平べったいビーフン。
スープの色はルンパー(スパイスペースト)がしっかり入った淡いオレンジ色。具も卵に厚揚げ、鶏肉にもやし、トマトとたっぷりで期待が持てます。
ひとくちスープを味見してみると、一気にシンガポールのカトンの風景が思い出されるほど本格的な味。食べ進めると、これはもしかしたらシンガポールのフードコートなどで味わう味の薄いシャバシャバのラクサなんかよりずっと美味しいかも?!と確信。
スパイシーながらも、ココナッツのまろやかな甘み(成城石井ではココナッツミルクではなくココナッツクリームを使用)に、香り立つ干しえび、ハーブ、トマトやレモンのかすかな酸味とともに絶妙にブレンドされたスパイスペースト。全てが調和してシンガポール版ラクサの命ともいえる濃厚なスープを作り上げています。
全国4万を超える応募があった新日本スーパーマーケット協会主催「お弁当・お惣菜大賞2015」における麺部門の最優秀賞に輝いたのもうなずける味でした。
以前シンガポールに住んでいた時は、自分好みの濃厚なラクサに出会うのはかなり難しいと感じていました。
しっかりダシの取れていないスープをココナッツミルクで薄めすぎたり、ココナッツミルクが分離しすぎて見るも哀れなダマダマのスープになっていたり、サンバルをたっぷり混ぜないと味が無かったりなど、それだけに美味しいラクサを作るのは難しいんだなぁ~と感じていました。
その点、ココナッツミルクが入らない甘酸っぱいアサム・ラクサなら比較的当たり外れが無いのでそちらをオーダーしたり。
それが、日本でこんなに美味しいラクサをレンジで手軽に味わえるなんて、しかも日本には殆ど知られていなかったラクサをテイクアウト麺として売り出し、最優秀賞を取るなんて驚きです!
ラクサに対する成城石井さんの並々ならぬ研究と開発、熱意を感じてしまいました。
欲を言えば麺の量の少なさと、税込で647円というお値段でしょうか(笑)?
それでも試す価値は大いにアリです。
ニョニャ式イーサム by スーペイ
イーサムは広東人が始めたもので、
ニョニャ式というと違和感を覚える人もいるのですが、
このイーサムはペナン・ニョニャ料理研究家のスーペイがニョニャのプライドを込めた力作。
パリパリの食感、繊細さが詰まっているのがニョニャ式なのです。
この写真にはありませんが、ここにミカンを加えるともっと美味しくなります。
それも彼女オリジナルのレシピ。
見た目もきれいにするのが彼女らしいところです。
本日はまだイブ。
正月は明日あさってと続きます。
さらにペナンでは15日間、最終日チャップゴーメーまで、
さまざまな催しが予定されております。
今年も一年、皆様にとって良い年となりますように。
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