お待ちかね!念願の客家料理を味わってきました。
多くのツーリストは「振成楼」に併設された食堂で味わうそうですが、せっかくならばツーリスト向けの料理ではなく、アレンジ無しの土着の味が食べたい!と我儘を言い、「承啓楼」の主「江さん」にお願いして、江さんの甥子さんがやっている客家料理のお店を紹介してもらいました。江さんに直接予約をしてもらい、メニューも任せるままにすべてお願いしました。
承啓楼から車で5分。到着したのは「客家飯店」という小さな食堂です。
最初に土地の名産、「姫竹の子と漬物の具だくさんスープ」。
漬物は客家料理には欠かせないものですが、甘酸っぱい漬物と姫竹の子がどっさり!直径26センチほどの大きな器で出てきました。漬物の酸味と、しゃきっとした竹の子の舌触りが心地良く、最初は幾分酸味が強いかな~と思いながらも、食べ進むに連れ段々と病み付きになり、結局はほぼ完食。最初の料理にはもってこい、食欲増進の爽快感あふれる具だくさんスープでした。
「牛肉と苦瓜の炒めもの」
牛肉を出すのはお客向けと思いますが、めっぽう苦い中国の苦瓜。じっくり下味を施した牛肉と絶妙に絡む苦み野菜との相性は抜群でした。中華炒めは簡単そうに見えて、実は下ごしらえと、火と油のテクニックが肝心なんだな~、と改めて思わせる、ご飯がいくらでも進むおかずです。
「地鶏と客家薬草のスープ」
客家料理の圧巻は、鶏のおいしさです。もちろん地鶏です。
入っている薬草は、客家の人がスープには必ず入れるという干した木の枝(小さな葉っぱつき)ですが、名前を聞いてもチンプンカンプンで分かりませんでした。薬草と書きましたが、薬膳スープなどにある苦くていかにも薬、という味ではなく、まったく薬草を感じさせず、鶏の味をそのまま楽しむ実にナチュラルな味のスープでした。味付けはたぶん塩とほんの少しのお酒?のみ。鶏のエキスがぎゅっと濃縮されたスープはまさに絶品。
ただし、すくい上げるごとに鶏の首だの、やたらと逞しい爪先だのがにょきっと現れるので、一瞬ぎょっとしながらも、おいしいスープだけをひたすら口に運んでいました。煮込まれた鶏の身はニンニク醤油につけて食べてもいいですよ、と言われコクのあるお醤油につけて味わいました。
「さつまいもの葉の炒めもの」
さつまいもの葉っぱは日本ではあまりおなじみではないかもしれませんが、プラナカンたちの住むマレー半島でも好んで食べられている葉っぱです。
南部の葉っぱ炒めでは、空芯菜がポピュラーですが、私はこちら「さつまいもの葉」炒めのほうが好きですね。空芯菜のようにかすかなネバリがありますが、もっと優しく繊細な味がします。つぶしたニンニクとともに、青々と炒められてとても美味しそうでしょう! なんたってみんな地のものですから野菜の味の濃さもひとしおです。
「客家焼き豆腐」
見るからに「家常菜」といった飾りっ気のない焼き豆腐ですが、これが実に味わい深いのです。豆腐も手作りしていると聞きましたが、それを油揚げくらいの薄さに切り、醤油とお酒?に少し漬け込み、ざざっとフライパンで焼きしめたものです。豆腐からほんのりただよう醤油とかすかな酸味。飽きずに毎日食べられるまさに家庭の味でした。
「塩鶏」
塩でじっくり蒸した塩鶏は客家名菜のひとつです。
引き締まった地鶏は弾力があり、噛み締めるごとに程よい塩気をおびた肉汁がにじみ出て、もう皮も身もしゃぶりつくしたくなる美味しさでした。
デザートには杏の実がどっさり。
まだ青い状態なので少し酸っぱいのですが、脂っ気の多い中国料理の最後には、この酸味が心地よいものでした。
酸っぱい、苦い、塩辛い、甘い、が献立の中に程よくミックスされており感心しました。五味で言えば唯一「辛い」がありませんが、客家の人たちや福建の人たちは「辛い」をあまり料理に取り入れていません。
今はどこでも重慶系の「激辛火鍋」がもてはやされるようになって来ましたが、
そんなものとは無縁の客家の村でいてほしいと思います。
御覧になっておわかりのとおり、どれもこれも客家料理はシンプルで飾らない中国家庭料理のお手本のような料理だと思います。土地の素材が持つ力強さを最大限に引き出しているお料理でした。
今度は梅菜扣肉とか、色々とまた食べてみたいです!
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