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マレー半島モンスーン寄稿
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少し時間がたってしまいましたが、私チエは平岡シェフとペナン~KL~マラッカ~シンガポールと長旅をしてまいりました。時期はちょうど春節直前。普段見ることのできない春節用の食材やお菓子がずらりと並ぶ姿を毎年楽しみにしていましたが、これを実際に教えてくれるというプラナカンの人たちの有り難いお誘いを受け、海を越えて勉強に行ってきました。

中国系にとって一年で最も盛大な儀式である中国正月はどんなプラナカンでも1カ月以上も前から「忙しい、忙しい!」が口癖となるのですが、嬉しいことに「プラナカンの文化を良く知る異国人がニョニャ・クエを学びたいのなら、忙しくても時間をつくる。」と言ってくれたニョニャ・クエ名人が2人。ひとりは70過ぎのプラナカンのお婆ちゃん、もうひとりはプラナカンのシェフでした。

今回平岡シェフがどうしても習いたかったクエのひとつに「クエ・ゲンガン」というプラナカンを代表するスイーツがあります。シンガポールではクエ・ラピスといわれ虹色に着色しているものがポピュラーなのですが、マラッカではそんな色は許されません、紅白が定番です。赤と白のういろう状の層を幾重にも重ねて蒸しあげていくこのクエ、米粉100%でやると硬くて駄目。少しばかりタピオカ粉を混ぜるのですが、この割合がとても難しいのです。これを2人のプラナカンにそれぞれ教えてもらう事にしました。

プラナカンの家には代々伝わる料理レシピとともに大切なのがクエのレシピ。特にクエ作りは女主人が取り仕切っていただけに、あのクエならこの家といった「ニョニャ・クエ名人」なるものが生まれたんですね。教える人が違うとどれだけクエも違うのか?密かな期待と楽しみがありました。

まずはプラナカンのおばあちゃん。米粉が多めの材料を大雑把に合わせてメイドさんにずんずんかき回させ、見ているそばから一段一段蒸しあげてゆきます。最近の赤い色は皆色粉を使うそうですが、蒸しあげている間に私たちはお婆ちゃんと一緒にせっせと春節用のパイナップル・タルトとタピオカ粉のクッキー、クエ・バンキチを作ることに。

P1310097.jpg作る量がハンパ無いので家庭用のオーブンでは無理。これを街のベーカリーに持ち込んで焼いてもらうそうです。大量に作ったクッキーはお世話になった方々や家族に配るそうですよ。そんな話しをしながら皆でパイナップル・タルトの周りのギザギザを綺麗にピンで模っていきます。





















P1310157.jpgしばらくしてメイドさんが「できましたよ~」と持ってきたクエ・ゲンガンがこれ。

「あれれ!!たったの6層じゃないの!!何にも分かってないね、まったく!」と吐き捨てるように怒鳴り始めたおばあちゃん「ありゃ~!まるでリトル・ニョニャのドラマみたいだ・・・」と一瞬その場がしぃ~~んとなりましたが、メイドさんも慣れたもの、笑いながらゲンガンをパクリ!ホームメイドならではのハプニングですね。できたてほやほやのクエ・ゲンガンは米粉独特の良い香りがしてすっきりした甘さにもっちりとしたテクスチャーは、どこかなつかしい和菓子の味がしました。









ところでお婆ちゃんがなぜ怒ったかというとこのクエ・ゲンガンには決まりがあるんです。中国語で「九層糕」とも言われているだけに九つの層を成さなければなりません。しかも一番上は必ず赤、一番下は必ず白と決まっているのです。だとすると白・赤・白・赤・白・赤・白・赤と8層で終わることに。それでも九層糕なんです。そのあと一番上にくる赤をさらに濃く色付けし、普通の赤の上に極薄く載せると美しいとプラナカンのシェフが丁寧に教えてくれました。



P1310064.jpg













シェフはさすがにプロ!そして几帳面!お婆ちゃんの家ではそれぞれの層を目分量で流し込んでいたのですが、ご覧の通り生地の分量を一段ずつ量ってお椀に分けてから流し込みます。

タピオカ粉も幾分多めでパンダンリーフもしっかりきかせていました。

P1310050.jpgゆっくり丁寧に教えてくれることゲンガンだけで2時間以上。やっとできた~~!と思ったら「出来上がりは柔らかすぎて切ることができないから明日取りに来なさい」と、その日は残念ながらおあずけに。翌朝食べた感想はぷるるんと柔らかくトロケルようなテクスチャー、今まで味わった中で最高のゲンガン!と同行してくれたプラナカンの重鎮も感動する味でした。

このシェフにはもうひとつアポン・バークアも教えてもらいました。インドにルーツを持つ発酵させた米粉のパンケーキ「アポン」は、ニョニャ菓子の中でも特にお洒落なデザートと言ってよいかもしれません。パンケーキの上にキャラメリゼした黒砂糖で風味をつけたバナナ・ココナッツミルクソースをたっぷりかけて食べるのです。一口食べれば絶対に虜になるこのスイーツ。
シェフもアポンが大好物だそうで、一度に12個も焼けるユニークなアポン専用のケーキパンを作っていました!




P1310057.jpg寝かした生地を型に流し込み、少し焼けたところでブルーピーの青い色を上から垂らしていきます。























P1310051.jpg表面がカリッ、中はふっくらの状態で出来上がり。少し酸味のあるアポンの生地に甘いバナナ・ソースをたっぷりかけていだくとマラッカの風がすぅ~~っと通りぬけていくようなエキゾチックな気分になります。



















クエ・ゲンガンとアポンづくりに約4時間。

手間暇かけて作り込まれたニョニャ・クエはやはりおいしい☆でもお婆ちゃんの素朴なゲンガンやクッキーも忘れられない味。プロと家庭の両方の味を勉強できた貴重な機会でした。

それにしても平岡シェフ、お婆ちゃんの家で2日間も朝9時から午後4時過ぎまでNon Stopでパイナップル・タルトとクッキーを楽しげに作っていました、さすが料理人です。私はあっという間に飽きてしまい、お婆ちゃんの家でワンタンをすすりながらDVDを見ていたのでした。

マラッカの旅はまだ続きます。
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Miki 2011/03/10(Thu)16:24:42 編集
シェフとはあの有名なK氏ですね。彼はクエ作りが得意と言ってましたから、さぞやおいしいのにありつけたことでしょう。うらやましい。

うらやましいといえば、アポン・バークワはうちの娘がマラッカの菓子のトップ3に数えるもの。いつもこれが食べたい、と恋しがってます。この写真見せたら、ぶーぶー言われそう。
  • 無題
Chie 2011/03/10(Thu)23:28:15 編集
そう,アポン・バークワは本当に良くできたスイーツだと思います。バナナ・ソースがたまりませんよね。このバナナ・ソースはPengatというデザートと同じレシピと言われました。日本で売っている甘いだけのバナナより幾分酸味のあるバナナで作ると美味しいんですよね~~~☆
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プラナカンを中心に、シンガポール・マレーシアの話題をお届け。食べ物・旅行の話題が中心です。
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シンガポールとペナンに住んで20数年、プラナカン協会会員です。ライター&コーディネート業務に携わっています。ご依頼・お問い合わせは下記ホームページからお願いいたします。
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