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マレー半島モンスーン寄稿
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私たちの本の写真は、99%現地で撮影したものですが、一部日本で撮影したものがあります。
それは「サロン=腰布」バティックの撮影でした。
なぜかというと布の撮影、しかも2メートルにもおよぶ布全体の撮影ともなると、ゆがみや、シワ、色味の出し方、ライトのあて方ひとつ取っても非常に難しいことが多く、プラナカンの重鎮から貴重なバティックをお借りしての撮影となると、大変な作業になるからです。
そんな時、素晴らしいバティックのコレクターでもあり、本の著者でもある「クンプル」の方々から嬉しいお言葉をいただきました。ご自宅にての撮影と、クンプルの方がお持ちの貴重なコレクターズ・アイテムのバティックの撮影を快く引き受けてくださったのです。

「クンプル(Kumpul)」というのはインドネシア語で「集まる」という意味。かつてシンガポールの国立博物館でガイドをしていた、おもに駐在員夫人で構成されているバティックの研究家集団です。
帰国されてからもずっとバティックの研究をされており、2005年に「ジャワ更紗の旅 Batik」という素晴らしい本を自費出版されました。

世間では、時として暇をもてあましている海外駐在員婦人、などと言われることもあるようですが、とんでもない! シンガポールにいればインドネシアにはすぐに飛んでいける距離。
ありとあらゆるバティックの産地に足を運び研究されてきた彼らは、そこら辺のバティック研究家をはるかにしのぐ素晴らしい知識を、現地での検証とともに本に綴っておられます。
クンプルさんの膨大なコレクションの数々は展覧会を開くほどで、コレクターには羨望の的の美しいバティックがどっさり。
その証拠に、本の写真はすべて彼らのコレクション。その内容は、日本人ならではのセンスで細部まで丁寧に書き込まれたもの。歴史から作り方、素材、使い方、産地別の特徴など、まさにいたれりつくせりの「バティックの教科書」ともいえる素晴らしい本です。

わたしたちの本では紙面の都合上、残念ながらわずか1ページというスペースにバティックの数々を詰め込みましたが、入りきれなかったバティックは色々なページにアクセントとして盛り込まれています。
中でもプラナカンが好んだプカロンガン製、愛好家羨望の的、エリザ・ファン・ツァイレンのサイン入りバティックや、ライステラスを模した米粒大の緻密な描写を施したもの、深みのある色合いに心を惹かれる三国染など、どれもが撮影に立ち会いながら、思わずうっとり見とれてしまうものばかりでした。

「ジャワ更紗の旅 Batik」は、東京では神保町のアジア文庫でロングセラーとなっています。
在庫が無くならないうちに興味のある方は注文されてはいかがでしょうか。

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  • 真摯な集団
Miki 2007/09/03(Mon)10:29:36 編集
日本には世界一のバティック・コレクションといわれる岡田コレクションもあり、やはり日本人ならではというか、本当にとことん道を極めた人たちがいるもんですね。
クンプルが決して遊び半分のサークルではないことが、この本を読めばわかります。専門的な内容から歴史もわかりやすく書かれており、バティック入門書にはうってつけ。それはきっと、ご自分たちがバティックに興味をもってから本を出すまでに、自分たちが疑問に思ってきたことを、自力で研究して一つ一つ解明されてきたからでは、と私は思うのです。
というのも、私の海外生活十数年の経験からいえることは、海外にいる日本人には、一般の日本人が知らないと思って、専門家ぶるインチキな日本人がおり、シンガポールにもそんな連中が少なからずうろうろしています。インチキな連中はわざと人々を煙に巻くために難しい言葉や専門用語を並べてみたりするんです。クンプルさんが誰にでもわかりやすくバティックについて解説する本を作られたこと、私たちの協力要請にも快く応じてくれたことは、彼らがわからない人を煙に巻いて威張るようなインチキ集団ではないということを証明するものです。 
バティックの世界はとても奥深い。こういうクンプルさんみたいなまじめな人たちのご協力を得られたことは、とても光栄です。これからもいろいろお勉強させていただければと思っています。
  • 無題
Chie 2007/09/03(Mon)18:49:16 編集
そうですね。
海外に暮らしてみて、日本ではとても通用しなさそうな人が、いかにも知ってます!とばかりに幅をきかせている光景を見ることが沢山ありました。

世の中にはどんなジャンルでもその道を極めた人が必ずいるのに、言いたい放題の怖いもの知らずの人たちがなんと多いことか。海外で暮らすには度胸が必要なのかもしれませんが、いきすぎは笑えます。(もちろん日本に住んでいてもそうですが)

地道に研究されている人たちは、けたはずれた知識を持ちながらも、決してそれを自慢することなく、みなさんとても謙虚です。
そういう人たちって、自分たちからは知ってますよ!とばかりに知識をひけらかしたりはしないんですが、話す言葉もやわらかく、心が洗われるような気がします。

わかっていない人に限って、意味不明の専門用語や横文字を多用し、自分の権威づけをしたいのかな~~と思います。

クンプルさんが書かれた本は、まさに「かゆいところに手が届く」素晴らしい本です。
クンプルのかたがたも自分たちの教科書となるものを作りたかった、と謙虚におっしゃっていました。
まだまだ研究に終わりはないようで、奥の深いバティックの世界を極めていかれるんだなぁ~と思います。
また素晴らしいコレクションの数々を目の前で拝見したいです!!

  • 無題
おひるねさん 2007/09/05(Wed)00:28:10 編集
バティックには以前からとても興味があったので、素敵な情報をありがとうございます。

早速アジア文庫のHPを見てみました。
ガイドブック的なものが多い中で、ほんと、隠れた?ロングセラーになっているとは素晴らしい本なんだと思います。

しかも自費出版とは、ますます興味をそそられますね。

近いうちに足を運んでみます。

  • お早めに
Miki 2007/09/06(Thu)09:46:18 編集
なんかもう在庫が少なくなってきたそうなので、お早めにお求めになられた方がいいようですよ。写真と図説が充実しているので、おすすめです。

>海外に暮らしてみて、日本ではとても通用しなさそうな人が、いかにも知ってます!とばかりに幅をきかせている光景を見ることが沢山ありました。

ほんとそういうの、よくいますよね。現地でちょこちょこっと習っただけなのに、日本に帰って急に「その道の大家」みたいな顔して中国茶道の教室開いちゃう人とか。で、そう言う人に限ってコネがたくさんあって本まで出したり、テレビ出演までしちゃったりするんだから、まじめにやってる方はバカバカしくなりますよ。
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