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マレー半島モンスーン寄稿
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以前から気になっていたマレーシアのクランタン、ここにもプラナカンと呼ばれる人たちがいます。今回彼らの結婚式があるということで、友人のつてをたどってお邪魔してきました。

IMG_9528.jpgまず簡単にクランタンについてお話しましょう。
クランタンは隣のトレンガヌ州とともにマレーシアでももっともイスラム教色の強い州で、マレーシアの与党UMNOではなくPASというイスラム政党の政権下にあり、保守的な土地と言われています。この辺はマレーシアでも有数の美しい島々があるところですが(正確にはトレンガヌ州に属す)、一時「ビキニ禁止令」が出るなどの規制もあり、お隣タイに比べて外国人人気も今ひとつのようです。・・・というと、排他的なイメージですが、ところがどっこい、人々は大変親切でフレンドリー。ただ住民の大多数がマレー人、そして女性はイスラム教徒らしく全員が頭にかぶり物をしている、そんな中では外国人は浮いてしまう、目立つのは確かです。ですが、私はかえって白人様様のタイよりも、外国人に媚びないこちらの方が「正常」に感じます。

写真)お菓子作りで有名な家。本当は王室献上のムルタバ・ラジャで有名な家だが、この季節はお菓子オンリー、残念!!


またここはタイと国境を接し、以前はタイ系のパタニ王国があったところでもあり、豊かな食文化に、ヒンドゥーの人形劇ワヤンクリ、マレー凧、バティックやソンケットといった布、銀細工、伝統的な木彫りなど、マレーシアでももっとも成熟した工芸文化が豊富な土地でもあります。

IMG_9551.jpg今は10月頭までイスラムの人々はラマダン(断食節)です。断食の季節とはいえ、街中いたるところに食べ物屋台が出ます。断食は夜明けから日没にかけて行われるもので、早朝と夜は飲食ができます。そのため日没後のディナーを買い求める客で夕方4時くらいから屋台街は賑わい始め、周辺の道路は渋滞になるほどです。タイに近いせいもあってケラブと呼ばれるサラダ風の料理やウラム(生野菜やハーブ類)も何種類もあり、これらといっしょに鮮やかで種類豊富なスイーツに、カレー類といった総菜がいくつも並ぶ様は圧巻です。全部試したいけど、食べきれない!

そんな食べ物天国状態のクランタンの首都、コタバル市内のお宅に約5日間泊まり込みをさせてもらい、またまた食べ物三昧の日々となってしまいました。中国系の人たちですので、親戚縁者が多い上に、日本人が珍しいとあってか、あちこちからお呼びがかかって大変でした。1人で街歩きする時間がまったくなかったのが残念です。

741d1047.jpegさて、こちらのプラナカンは、マラッカやペナン、シンガポールのグループとは完全に別のグループ、関連性も低いようで、プラナカンの定義ももっとおおらかです。一応プラナカン協会がありますが、とにかくこの土地で生まれた人はすべてプラナカンと認識して良いらしく、とくに特権階級だったわけでもなく、特別な文化を編み出したわけでもなく、ただただ現地に同化してきた中国人たち(福建系)なのです。

ただその同化の度合いはマラッカ以上で、マレー人はもちろん、タイ人との混血も多く、食べ物は豚肉を食べる以外はほとんどマレー人と変わりがないような。もちろん若干違うものもありますが、ニョニャ料理のように中国&マレーをミックスしたフュージョン料理というのではなく、マレー料理あるいはタイ系の料理をそのまま普通に食べています。というわけで、コタバル滞在では一度も中華料理らしいものは食べませんでした(でも中国料理のレストランもありますよ)。

中心部に近いところにカンポン・チナ(チャイニーズ・ヴィレッジ)と呼ばれる地区があり、福建移民らしく「媽祖」を祀る中国寺院もあります。ここにコタバルの中国系有力者の家もあり、プラナカン協会があります。農村部まで行くと姿格好もマレー人と見分けがつかない人が多く(色黒で)、彼らとマレー人の違いは宗教だけ、とも言えるほどです。農村あるいは都心部でも古い家はマレー家屋とほとんど変わりなく、ただ玄関先に赤い提灯や垂れ幕がかかっているので区別が出来る、程度なのです。
IMG_9650.jpg




写真)中心部に近いところの裏路地にて(カンポンチナではない)。周辺のマレー家屋と同じ造りだが、中国人の印、赤いランタンが下がっている





 今回は農村地帯での素朴な結婚式を見学させてもらいました。
また次号で紹介させていただきます。
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  • 無題
まい 2008/09/18(Thu)10:59:41 編集
こんにちは。さすが美紀さん。たった5日間のご滞在で、私がコタバルを愛している理由を見抜いてしまいましたね(笑)。他のマレーシアの都市と違い、コタバルでは本当にマレー人と中国系の人たちが仲良く暮らしています。私はマレー語には不自由しないと自負していますが、でもクランタン方言までは話せません。バリバリのクランタン方言を話す中国系の人たち、本当にプラナカンって呼んでもおかしくないんじゃないかな。彼らはチャイニーズニューイヤーでも、ナシ・クラブなどのクランタン料理を出すくらいですもん(笑)。

次号。楽しみにしております。

  • 無題
Miki 2008/09/18(Thu)12:08:15 編集
まいさん

コメントありがとうございます。
っていうか、コタバルは旅人にも結構理想的な街だと思います。エキゾチックだから写真も絵になるし、人々は素朴でフレンドリー、コンパクトで見所も限られているけど、街歩きが楽しいところだと思います。マラッカの友人(中国系のアーティスト)がたまたま先週コタバルに行ってたそうで、「コタバル最高!」って言ってましたよ。とくにプアサの時期のコタバルは最高だと思います。ああ、島にも行きたかった・・・

そう、クランタン方言バリバリの中国系の人たち、こちらの方がそう言う意味では本物のプラナカンだな、と思いました。でも当人たちはあまりプラナカンって言葉は使わないみたいで、自分たちはAnak Kelantan(クランタンの子)なんだ、って言ってました。
とにかく、プラナカンというテーマで私が取材に来たこと自体が彼らにとっては意外なのでした。私に質問されて初めて、自分たちのアイデンティティーとは何かを考え始める人が大半でした。
  • 無題
Chie 2008/09/19(Fri)05:43:10 編集
美紀さん

長旅大変お疲れ様でした。
もう少しで捜索願いを出そうかと思っておりました(笑)
過酷な日々もあったようで・・・・・・

ところ変わればプラナカンも変化して当然。
その土地に「同化・共存」するとはどういうことか?というのをクランタンのプラナカンの人々が示しているような気がします。

豊かな食文化を育んだだけではなく、伝統工芸品もクランタンは素晴らしいものオンパレードと聞きます。そういったインフォメーションが日本にいるとほとんど耳に入ってこないのが残念です。
どうか美紀さんじゃんじゃん紹介してください。

それにしてもラマダン時の夜ご飯にかける情熱って凄そうですね~~~見てみたかった!!


まいさん

いつもブログを読んでいただき、誠にありがとうございます。これからもどうか宜しくご指導くださいませ。


  • 無題
まい 2008/09/19(Fri)16:45:56 編集
美紀さん

スタジアムの屋台には行きましたか?ずら~っとお菓子や料理が並んでいるのは、本当に圧巻ですよね。美紀さんのおっしゃる通り、全部試したいけど食べきれません。クランタンやトレンガヌの料理って辛くないので、日本人には食べやすいですしね。

クランタンの中国系の人たちの同化って、タイの華人に近いんじゃないでしょうか。言葉や食べ物は現地のものに馴染みながら、宗教や習慣(献茶の儀式など)は伝統を守っていく。その土地で生きていくためには賢いやり方だと思います。

Chieさん

こちらこそ宜しくお願いいたします。愛してやまないクランタン料理については、詳しく紹介している友人のブログを美紀さんにお伝えしておきますね。
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