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マレー半島モンスーン寄稿
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東南アジアの様々な食の現場を見てきた中で、高価な素材を扱う高級店が多くのスポットを浴びる中、日常の素材を使いながら、日々コツコツと丁寧な仕事をし続けている職人さんたちへの「手間」に対する評価というか、代償があまりにも少ないことをいつも私たちは思ってきました。

シンガポールの大同餅屋や粽作りの名人リムさん、今回のマラッカ旅行で出会ったピクルスの達人Martinさんもその一人です。
彼の作る絶品ピクルスは一瓶わずか(6~8)リンギット。マレーシアの物価からしたらうなずける価格かもしれませんが、日本人の私たちから考えたら何段階も手順を踏むマーティンさんの丁寧な味作りを思うと、この値段はお涙ものでした。彼が作る菓子類などもわずか2リンギット(65円)というお値段。

IMG_6935.jpg 自宅と厨房と販売所を兼ねたファミリー・ビジネスというのは、多くは美味の宝庫です。
自らを「The Pickle Man」と称するマーティンさんの職人技を目の前に、私たちは大興奮でした。
鍋はかきまぜるわ、つぼの蓋を開けて匂いをくんくんするわ、シークレットとされるブレンド用のスパイスを数え始めるわ、テンションが上がりっぱなしの2人に嫌な顔ひとつせず、親切丁寧に教えてくれたマーティンさん。
普通ピクルス(アチャー:AcarもしくはAcher)というと、私たちのイメージでは酢漬けの野菜や果物を思い浮かべますが、こちらは素材を選ばず漬物感覚。中でも驚いたのは、マーティンさんが美味しすぎて自分達で食べちゃう!といっていたタラコのピクルスでした。
残念ながらお邪魔した時はまだ漬け込みの段階で販売はしておらず。

塩魚やマンゴー、タラコやグリーンチリのピクルスにチンチャーロッ (アミの塩辛)、カリーデバル・ペーストなんかがあるのも魅力的!もちろん全がHOME MADE。いかにもポルトガル(クリスタン)らしいのがパン・スーシ(PangSusis=さつま芋生地で作ったミート・パイ)やパイナップル・タルトなどのスイーツ類も売っていること。重量のこともあり、私たちが購入したのはグリーンチリが入った野菜のピクルスと、マンゴーのピクルス、そして塩魚のピクルスの3種類。
IMG_7038.jpg











グリーンチリのピクルスは甘さが際立ち、白酢を使った酸味がまろやか。辛い料理とともにいただくには、もってこいの味付けです。
丸ごとのグリーンチリとともに、エシャロット、人参、キャベツ、キュウリ、ガーリックが漬け込まれ、すべてがシャキシャキの歯ごたえです。
これはもちろん各野菜を天日干しにしているから。
しかもそれぞれの食感が全て異なるため、食べていて楽しいことこの上なし!感激したのはチリの中にぎっしり詰め込まれた極細のグリーン・パパイヤ!
まるでサキイカのような弾力と糸のような極細を作り出すのは、グリーン・パパイヤ(塩と酸味を少々加えたもの)を数日間天日干しにしてから細かく刻んであるからです。しかもパパイヤの中には干し海老の隠し味も。マーティンさんの職人技がひと目で分かる丁寧な仕事ぶりに私たちは驚くばかり。

お酢と砂糖、塩に加え、クリスタン風ピクルスに欠かせないアイテムがマスタード・シード。
インドにも様々な種類のアチャールがありますがインドのアチャールはライムなどの苦味成分を加えることが多いのに比べ、クリスタン風のものは甘さが特徴だとのこと。酸味も柑橘系ではなく、お酢を使います。これはニョニャのアチャーにも影響を与えました。

甘くてシャリシャリ、さっぱり味のグリーンチリ・ピクルスに比べ、マンゴーや塩魚のピクルスのベースとなるのが、マーティンさんのシークレット・レシピと言える様々なスパイスを油で炒め煮したチャツネイ・ミックス。大きな中華鍋にたっぷりの油を入れ、ガーリック、フェネル、クミンシード、コリアンダーシード、チリパウダーにサフラン、ターメリック、ショウガなど様々なスパイスを合わせ、絶えず鍋をかきまわしながら油に風味を閉じ込めること約2時間半。何とも言えない赤茶色になったら出来上がりです。

IMG_7050.jpg マンゴーピクルスはインド料理のカレーソースを煮詰めたようなペーストの中に歯ごたえのいい硬めのマンゴーのスライスが入っており、程よい酸味とほんのりとした甘さがあります。塩気はきつすぎることなく、ライスの友とでもいいましょうか。

塩魚のピクルスの方も同じく濃厚なカレーペーストのようなものの中に干した塩魚の角切りが入っていて、こちらは甘みはあまりなく、塩魚らしい程よい塩気と、魚の風味が生きています。こちらもライスが進みそうな味です。塩魚は大型の魚(タラはありませんので、大型のタイなどを干したもの)を使っており、ポルトガル人の大好きなバカリャウ(塩ダラ)から発想したのでしょうか?

次回の訪問の際にはマーティンさんにクリスタンの料理を教えてもらうことを楽しみにしています。
いつかこのブログでも紹介できれば、と思います。
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  • 無題
Miki 2008/03/03(Mon)13:44:41 編集
日本だったら、厳選お取り寄せ、の世界ですよね!

アチャー(中央)の写真を見てやってください。グリーンチリのすぐ後ろにキュウリがあるのわかりますか?しっかり干されてくるりんとしているんです。まるで大根のハリハリ漬けのようです!湿気も多いこの熱帯の地でここまで干すコツ、是非習いたい。

私たちが行ったときも、シンガポールのユーラシアンの人たちが買い付けに来ていましたね。
こんなに手間ひまかけて作る食品は市販ではありえません。

チエさんにもいいましたが、シンガポールやマレーシアではなぜかこういったローカル料理に対する評価が低く、これらのものがちょっとでも高いとブーブー文句言われるのです。バカ高いフカヒレ料理とかフランス料理なら何も文句言えず食べているのに!あほくさ!手間に対する代償が低すぎます!これでは手間をかける職人が減っても仕方ありません!!
  • 無題
2008/03/03(Mon)20:52:54 編集
おいしそうですね

こんな深い世界は日本では絶対味わえません
  • 無題
Chie 2008/03/04(Tue)03:40:35 編集
大さん

そうですね。日本では決して味わえない奥深い味でした。
マーティンさんのお店は近々立ち退きとなり、他所に移転するそうですが、次回訪れた時は庭で採れたマンゴーのピクルスなんて夢の話しになるのかなぁ~~と思うと残念でなりません。

私は残った貴重な漬け汁に、新たに人参とオニオンを漬け込んでおります。(天日干しまではしてませんが)

一瓶、料理研究家の方に差し上げたら、あまりの美味しさに今度弟子入りしたい!とメールをいただきました。
そのくらい、ちょっと想像を絶する美味しさなのです。
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